Man and Machines

>>026

iZotope                       freeware
---------------------
 Vinyl

アナログの音質劣化を再現する
  わかりやすいlo-fi系エフェクター

 このコーナー2回目のエフェクターですね。まぁ、ここでコーラスなどの定番のエフェクターを紹介するはずも無く、今回紹介するVinylは、音をわざわざ劣化させる汚し系のプラグインです。このプラグインを開発したizotope社は、ナインインチネイルズを始め多くのミュージシャンに使われるディストーションプロセッサ“Trash”など、高品位で強力なエフェクターを世に出している会社でして、このVinylも、192 kHz、64Bitの内部処理と、フリーでありながら他のシェアウェアのプラグインに劣らない高品質設計となってます。
 このプラグインの使い道は、“音を汚す”これに尽きると思います。とはいえ、ディストーションなどの歪み系のように音を過激に変化させるわけではありません。このプラグインは、デジタル録音のピカピカしたサウンドを、ターンテーブルやカセットMTR、更にはラジオなどで再生したようなザラザラの音に劣化させます。
 まずメインとなるパラメータは、YEARと呼ばれるつまみでしょう。これで、シミュレートしたい機材が作られた年代(もしくは録音した年代)を決めるのです。6種類用意された年代から、一つを選びます。当然のごとく、年代が古いほど音が汚くなります。これ以上分かり易いパラメータって無いと思いません?古くなる感じが、単に汚いというよりは枯れて行く感じなんで凄い良いんですよ・・・
 他にも5つ、弄れるパラメータがあります。MECHANICAL NOISEは、機材自体が出す騒音の大きさを決める事ができます。ターンテーブルや昔のテープレコーダが出す、あのチリチリした音とサーって音が混じったノイズです。WEARは、回路内で音が劣化する具合を決めます。上げるほどに音が歪み、ダイナミクスが無くなります。歪むくせに、音がそんなに太くならないところが、こいつの特徴です。ELECTRICAL NOISEは、60Hzのハムノイズの大きさを決めます。ラジオやトランシーバーが出している、あのジ〜〜って感じのノイズです。DUSTは、レコードの針に埃が挟まった時に出る、プチプチしたノイズの大きさを決めます。スライダー下にあるつまみで、埃の量を決める事ができます。SCRATCHは、針が飛ぶ時の音の大きさを決めます。フェーダーを上げすぎると、バリバリバリッと耳を悪くしそうな音が出るので注意です。針が飛ぶ確率は、下のつまみで決めれます。
 個人的には、ラジオを通したようなサウンドや、カセットMTRを通したようなサウンドを作る時に重宝してます。リズムマシンの音をこれに通すと、キセルで聞かれるようなサウンドになるのが好きですね。あと、ストリングスのバッキングがキラキラし過ぎてるなーって思ったら、こいつを軽くかけて音を鈍らせると、収まりが良くなったりします。ゲインを上げると、独特な感じで音が歪む(この場合はちゃんと音が太くなる)のも良いですよ。
 なお、フリーですが、使用するにはユーザー登録が必要なので注意です。

仕様
評価
◎◎◎◎
GUI
◎◎◎◎◎
汎用性
◎◎
負荷
◎◎

戻る