ファミコンサウンドをリアルに再現する
シンプルなソフトシンセ
Magical 8bit Plugは、ファミコンの拡張PSG音源を再現したソフトシンセです。開発にはチップチューン系POPバンド「YMCK」が深く関わっており、YMCKの2ndアルバムでは、ボーカルを除く殆どのサウンドがこのソフトシンセによって作られているようです。その点で、音源としての品質は折り紙付きですね。YMCKがiBookユーザーである事から長らくVST版が出ていなかったのですが、遂にVST版が公開となり、Windowsでも使えるようになりました。
サウンドは、まごう事なきファミコンサウンドです。特に、擬似三角波、ロービットノイズといった、通常のシンセでは再現しづらい波形もオシレータとして選択可能なため、よりリアルなファミコンサウンドを出す事に成功しています。パラメータも、波形選択、ボリューム、ADSR、ベンド幅設定、スウィープ機能と、あくまでファミコンサウンドを再現するための必要最低限に止めています。オシレータの次に大きな特徴となっているのが、効果音作りに重宝するスウィープ機能です。「ピュンッ!」「ビヨ〜ン」といった音が勢いよく上下する効果を簡単に得る事ができます。個人的に何よりありがたいのが、スウィープする速度を1秒から0.009999秒まで指定できる事です。0.009999秒の高速スウィープと立ち上がりのよいADSRのおかげで、キック、タムなどのパーカッションサウンドを鳴らす際にも、非常にキレの良い音が得られます。擬似三角波で作ったキックサウンドは普通にテクノで使えるんじゃないかと思うぐらいです。ロービットノイズも、音程によって周波数成分が異なり、微妙な音程感が残っているので、ハイハット的なノイズ、ライド的なノイズ、スネア的なノイズなど複数のノイズを弾き分ける事が可能です。
このソフト、GUIは搭載していないので見た目はいまいちかもしれませんが、処理も軽く、音もしっかりしているので、GUIが無い事がむしろ潔く思えるかもしれません。ファミコンサウンドを求めるならかなりお勧めです。